2012年4月14日土曜日

本の持つ価値

東日本大震災の復興支援に行った人の話を聞いた。
といっても、ボランティアや、物資の支援に行ったわけではない。
話をしに行ったというのである。背広を着て・・・・・・
行ったのは、大震災の後2~3ヵ月後だったそうであるが、
最初は物資を必要とした。住むところもなくなり、食べるものもなく、衣類やその他の生活物資も何もなくなった状態だったから、全国から集まった、物資が必要だった!そして人手が必要だった。瓦礫の処理や様々な片付けなど・・・
しかし数ヶ月がたって、生きるために必要な物資が足りてくるようになると、避難所でも人々が活字を欲するようになり、話を欲するようになってきた。
ことのはじめは避難所の責任者から、[本を送ってほしい]と頼まれたそうである。それで数千冊の本を送ってあげた。そうしたらとても喜ばれた。
そして今度は話しをしに来てほしい。と言われて行ったそうである。ミュージシャンなど音楽の演奏で支援に行った人の話は聴いたが、話しをしに来てほしいといわれたというのである。

人間と言うのは、聖書にイエスキリストが悪魔の試練に応えて、「人はパンのみにて生きるにあらず。神から出る言葉によって生きるのである。・・・」と答えたそうだが、本当にそのとおりだ。
人間にとってまずはからだを生かすための食料が必要だが、それだけでは生きていけない。[言葉]が必要なのである。人間の心には[言葉]という面見えない食べ物が必要なのである。

避難所に行った人々も、人間としての生命体を維持する最低限の食料が確保出来るようになると、次は[言葉]を渇望するようになったのである。

子供は赤ん坊の時、お母さんのおっぱいをもらって成長するが、離乳食から普通の食べ物を食べられるようになると何が必要になってくるか・・・それは[言葉]である。人間が人間として本当に成長するためには[言葉]が必要である。いろんなことをお母さんから教えてもらい。お父さんやお兄さんお姉さん、そして周りの人たちから教えられて大きくなる。そして学校に行くようになると学校の先生から・・・
そして人生の師を求めるようになる。

こんな時に本がその力を発揮するようになる。
まあ、僕なんか母親が働いていたので、特に小学校の時などはほとんど学校の図書館に入りびたりで、本を読んで大きくなった。本が親代わりだった。そしてたくさん本から教えられた。

家は貧しかったが、毎月好きな科学の雑誌だけは買ってもらえた。そんなこともあって本が好きになったのだが・・・
どちらかというと文学物はあまり読まなくて、科学関係やノンフィクション関係が多かったが・・・

一冊の本にこめられた凝縮された[こころ]、それが人を生かす大きな力となる。
それは、綺麗で傷のない本も、読む継がれて角が擦り切れ表紙がぼろぼろになったような本も、その中身は変わらない。
Amazonに出品してみると、やけに外装のコンディションにこだわる人があるが、本当は残念な思いである。まあ見かけも綺麗な本で読みたいというのはもちろん悪いことではないが、本当はたくさんの人に読まれて、時には書き込みや線が引かれたような本のほうが、新しい本よりもっと価値が増えているようにも思い、そんな本を読みたいとも思うのだが・・・・皆さんいかがだろうか?

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